WORKS施工事例

永源寺 観音堂

木造在来軸組工法平屋建
建築面積: 26.06㎡

長崎街道の宿場町として栄え、今なお古い町並みを残す木屋瀬地区。
曹洞宗 永源寺の開創五百年事業として建立した永代供養墓である。

現代の墓地は核家族化や少子高齢化、死生観の変化により墓離れが問題となっている。
昨今は代々のお墓に入る他、樹木葬や海洋葬など多様な供養の形が整備されつつあるが、
継承者のいない無縁墓の管理や納骨堂の飽和などの寺院側の課題も多く存在している。

このような状況に対し、小規模な法要やご遺族で過ごす大切な時間のための小さな建築を設計した。

提案にあたり「彼岸此岸(悟りの世界と私たちの住む世界)を現す橋のような建築」であること、「内部は故人が浄土へ登る祈りの空間」であることが求められた。
河川敷に立地することから水害への対策として高基礎とし、アプローチを橋に見立てた浮遊感のある外観としている。
また、境内の保存樹の根張りに干渉しないよう、地盤の掘削深さを最小限にするため、より軽量な木造を選択した。
永代にわたり利用されるよう構造安定性を最重要に考え、中心部の三角錐を起点とした三方に伸びる屋根をかけた。
高さの変化する桧の化粧梁が連続することで柔らかな曲線を描き、三角形の高窓は訪れた方々が自然と空を見上げ、浄土への祈りの空間となるよう配置した。
故人を傍らに感じられる時間を過ごすための場所、世代を超えて、おおらかな屋根に守られた終の住処となることを願う。

GOOD DESIGN AWARD 2023 受賞

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